ひばりが丘は来春栗原とともに総合高校として生まれ変わる。
ひばりが丘としての夏は、今年が最後だ。
部員は10人。
しかし、どこを見渡しても背番号1の姿がない。
エースで主将の香取和彦(3年)。
大会4日前に麻疹にかかって自宅にいる。
高熱を押してでも応援に行きたい――
足元がふらついて、それさえもできない。
「大型で球も速くてね、すごくいいピッチャーなんだよ」
ライバル校の先生の話を聞いて
周りにいた人たちが静まり返った。
チームは大黒柱を失いながら14日初戦を突破し
挑むは、センバツ出場校・慶応。
春木智遊撃手(3年)は足を引きずっている。
初戦で足を吊るアクシデントに見舞われた。
でも、自分が抜けたら野球ができなくなってしまう。
患部周辺を拳で叩いて、ずっと全力疾走だった。
ボールボーイは部長先生が務めていた。
球審がお辞儀をしてボールを受け取っている。
不思議な光景だった。
スタンドではチアガールが勢ぞろい。
イニングが進むごとに、応援の一般生徒も増えていく。
スポーツとは縁の無さそうな長髪の男子生徒も
青いメガホンを揺らして、必死に応援。
試合終了後、選手たちに涙はなかった。
正面玄関で雨宿りする星孝樹監督と町田隆部長先生。
空を見上げながら、どこかさみしそうな表情だ。
せめて香取にユニホームを着させたかった。
そう言っているようで仕方がなかった。
来年、唯一の下級生・鳴島拓人(2年)が
主将の無念を晴らしてほしい。

